連載15
私の友人にはいろんな人がいますが、突出しているのは非営利団体NGOのスタッフU君やN君。
優秀なスタッフで、経歴や学歴でその人を評価してはいけない見本のようなU君とN君。
U君は元暴走族。
二十三歳の若さで今や二歳のひびき君という可愛い男の子の父。
U君についての話もすごく面白いけど、今回はN君の話。
彼は二十八歳。中学卒業後、十四歳で、たった一人で生きねばならない環境に放り出された人。
「ほんとにお腹が空きましたよ」という言葉にどれほどのつらさや苦しみや悲しみがあったことかと察せられる。
ほんとなら涙なしでは聞けない話を面白おかしく話すので笑い転げてしまう。
いつか本にしてほしいけど波乱に満ちたもの。
年配の人でよく若い人とは話が合わないとか、まるで別世界に住んでいるようなことをいう人がいます。
でも私はこのNGOの船に乗って講師をしたおかげで多くの若者に出会い、理解し合い、話はいつも深夜までどころか明け方近くまで及んだものです。
みんなが共通して持っているものはそれまで生きてきた人生、現代の様々な社会問題、そして食べもの、いっぱい話すことがある。
「松茸は高すぎますけど、エリンギごはんって知ってまっか?」。
九州の佐賀で捨てられ、福岡、大阪間を転々とした中で、ばっちりと大阪弁が身についた二十八歳、ときどきオッサン調になります。
「しめじでもええし、オーブントースターで焼きますねん。しつこうしつこう焼きますねんよ、ヒカヒカになるまで。
それをシャポリシャポリと薄口しょうゆに漬けて、炊きたてごはんに混ぜるだけですねん」
食べものは、毎日食べないと生きていけないしんどさと、食べるという誰にも共通する幸せとの両面を持ってます。
彼が料理を語るときの顔を見ていると、ほんとに私まで嬉しくなってきます。
ヒカヒカエリンギごはん、つくりました。
撮影:添田明也 スタイリング:チームKATSUYO
すだちを絞ってみました。
どうしてこんなにおいしいかと思うほど素朴でおいしい。
「きのことりおじさんに山の中で食べさしてもらいましてん。炭火でヒカヒカになるまで焼いてましてん」。
どんなにつらいことが続いても、良い人に出会うだけで、人は幸福になれる。
きのことりおじさんにも私は感謝。
ぜひ、つくってみてください。
食べないと分からないおいしさですから!
必ずヒカヒかになるまで焼くこと。
歯ざわりが違います。
小林カツ代
出典:NHK きょうの料理 2004年10月号