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二十四節気 食ごよみ

啓蟄(けいちつ)
新暦3月5日頃〜
冬ごもりをしていた虫たち(蟄)が、春の訪れを感じて目覚め、穴を啓(ひら)いて地上に出てくる頃です。
▲次の24節気は春分(3月20日頃〜)です。

お節介訓 その3
啓蟄は、春の風にご用心!皮膚・粘膜・体のバリアを強化して、花粉の季節を乗り切ります!

2016 啓蟄のおすすめは
フレッシュハーブオイル
春の風邪(ふうじゃ)を寄せつけない

薬膳のポイント>鼻水、目の充血、頭痛、皮膚のかゆみ・・・3月は、風邪(ふうじゃ)※が体の不調を起こしやすい季節。症状がひどくなる前に、日々の養生で予防と軽減!香りと辛味で邪気を発散させるミントや香菜などで作るハーブオイルを活用しましょう!

※風邪(ふうじゃ)とは、自然界に吹く風が体に悪さをすること。とくに春はいたずらな風が花粉などを連れて体のあちこちを吹きわたり、目のかゆみやくしゃみ、鼻水といった不快な症状を引き起こしやすいので要注意。

啓蟄食べもの語り
 24節気では啓蟄を迎えました。土の中で虫たちが動き始める姿を想像すると可愛いです。人間もエネルギッシュに活動を開始したい頃ですが、春の風に乗って舞う花粉やほこりに過敏に反応してしまう人にとっては、そうも言ってはいられません。

 そう、春は風にご用心!中医学では、春は「風(ふう)」の季節と言われます。春に吹く、生あたたかくて気まぐれな風が体に入り込んで悪さをすると、頭や喉の痛み、目の充血やかゆみ、鼻づまりなど、とくに体の上半身にトラブルを起こすと考えられています。

 風(ふう)の邪気から身を守るには、体のいちばん外側のバリアを丈夫にし、鼻や喉の粘膜を強化して、体の抵抗力を高めることが大切です。皮膚や毛穴、呼吸器の働きは「肺」というパーツが引っ張っていくリーダー的な存在なので、「肺」の機能アップもはかり、花粉に敏感な人は胃腸が弱い場合も多いので、腸内バランスを整えることにも力を入れます。

 バリア強化、つまり、外部から侵入する目に見えないものをはねのける自分の力をつけることは体質改善にもつながるので、本来なら、症状がでてからというより、春のために冬から、楽しく養生する生活プランを作っていきたいところ。

 しかし、「花粉症」の症状が、いち早く出始めてしまったときは、ミントなど香りのよいハーブを摂り入れるなどして、つらい症状を少しでも軽くしましょう。花粉の季節は、“予防”と“対症療法”2段構えの対策で乗り切ります!

薬膳的!啓蟄、これ食べたい!
 まずは、花粉症でつらくなりそうなとき、ミントや香菜、三つ葉、しそ、セリなど、辛味があって体表の風邪(ふうじゃ)を発散させる働きがある香草を摂り入れてみましょう。

 なかでも、メントールの香り爽やかなミント(薄荷)は、炎症による熱っぽさを冷まし、鼻づまりや頭痛、目の充血などの炎症を抑えるのにも役立つハーブ。お茶の時間は「ミントティー」や緑茶に乾燥ミントをひとつまみ加えた「ミント緑茶」にしてみるのもいいです。

 ミントのお茶以外にも、啓蟄のおすすめでご紹介した「フレッシュハーブオイル」には、ミントや香菜などのハーブがたっぷり。いろいろな料理に使って、春の心強い味方にしてください。

 花粉症のつらい症状を少しでも楽にする対策をとりながら、続いては、邪気を寄せつけないために、体の抵抗力を強化することを考えていきましょう。

 風邪によって運ばれる花粉や細菌などの侵入を阻止する役割を果たしている体表のバリアを、中医学では「衛気(えき)」※と呼びます。衛気が充実し、体の表面、たとえば皮膚、のどや鼻の粘膜にしっかり張り巡らされると、花粉などが体に入り込みにくくなり、抵抗力アップにつながります。

 ※「衛気(えき)」という言葉、むずかしいですよね。こんな例え話はどうでしょう?城下町、、、お城を思い出してください。姫路城や、皇居でもかまいません。本殿が自分と考えてくださいね。お城には高い高い石壁、そして城の周りを囲む、お堀があります。見えはしませんが、自分の体表(皮膚、鼻やのどの粘膜など)を石壁やお堀と考えてみてください。これをしっかり作るんです。突貫工事にならないように、本当なら冬に。石壁やお堀がないと、悪い奴が簡単に侵入するというのは、だれもが知っていること。

 衛気を養い、強化するためには、そのもとになる「気」を補うことが大切です。とりわけ、「肺」と「脾(消化器系統)」は、呼吸と栄養の消化吸収を行い、「気」を生み出す働きを担う大事な臓器。弱っていると衛気も不足してしまい、抵抗力が弱まり、花粉症の症状も出やすくなります。やさしくいたわり、養うことが必要です。

 今の季節ならブロッコリー、キャベツ、きのこ、豆類、いも類、穀物類などで気を補い、さらにヨーグルトなどを上手にとって腸を元気にし、栄養を全身に届けるベースづくりをするのがおすすめです。

ベーコンと野菜のキャセロール
気を補う野菜がわんさか。ヨーグルトソースでヘルシーなのも嬉しい。

 気を補う野菜をたっぷりと使い、ヨーグルトソースでまとめて焼いた「ベーコンと野菜のキャセロール」は、食べ応えも十分、栄養いっぱいの一皿です。

長芋の胡桃田楽
皮ごとほっこり、もっちり蒸し上げた長芋で肺を潤し、粘膜を強化!

 そして、「長芋の胡桃田楽」。肺を潤して強める長芋は、粘膜保護、消化にもよいすぐれもの。皮ごと大胆に蒸すと、ほっこり、もっちり。大地の元気をしっかりといただいて、抵抗力アップを目指します。

 花粉の季節は一年の中でも受難の時期と感じる方が年々増加しています。睡眠不足やストレス、体の冷えは体のバランスを崩し、抵抗力を弱めてしまう原因にもなります。無理をせず、体を冷やさないよう気をつけながら、気持ちを楽にして過ごしましょう。

 あ、やさしくいたわるということは、けっして身体を甘やかす、過保護にするということではなく。あくまでも、症状が出る前にいいとされる食材での食事作り、生活の見直しといった予防。そして、症状がでてしまったら、軽減すること。この二つを自分の体への養生とすることです。

 日々の暮らしで、少しでも元気な生活につながることを意識できたらと思っています。


▲二十四節気とは、1年を24等分にした旧暦上の季節の目印です

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2024/04/05

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