新暦10月23日頃〜
朝夕はぐっと冷え込み、山のほうから初霜が降り始める頃。街にはコートを着る人もちらほらと…。
▲次の24節気は立冬(11月7日頃〜)です。
お節介訓 その18
霜降は、乾燥がさらに増してきて、便秘なども現れやすい頃。腸内環境を整えて、すっきり気分で過ごします。
薬膳のポイント>今が旬の里芋を生地に混ぜ込んだお団子。里芋は独特のぬめりに胃や腸の粘膜を保護したり、消化を促進する作用があり、食物繊維も豊富で、腸内の老廃物を排泄し、整腸や便秘の解消にもよい食材です。胡桃味噌をのせて香ばしく焼いて。深まる秋にぴったりの、懐かしい味わいです。
立秋から数えて6つめ、秋の最後の節気です。色とりどりの落ち葉、コロコロとしたどんぐり…晩秋の気配が漂い始めています。すがすがしい空気は冷たくピンと張り出し、日を追うごとに乾燥も増してきました。
乾燥は、皮膚、呼吸器系、肺を傷めやすいこと、秋分の食ごよみでお伝えしました。乾燥の影響はそれだけにとどまらず、大腸の働きにも密接に関係し、便を乾燥させ、便秘がちになるという困った症状につながることもあります。
中医学では便秘を、原因によってさまざまな角度からとらえます。たとえば、腸内の気・血・水分の不足や老化により排便の力が弱まる虚性便秘。あるいはストレスや運動不足で気が滞り、排便の力も停滞する気滞便秘。さらには腸内の冷えあるいは熱のこもり過ぎなども原因のひとつと考えます。薬膳では、どのタイプかをよく見極め、より適した食べものを選び、便秘解消を目指します。
女性の慢性的な便秘は虚性タイプが多いとされ、今の時期はとくに、普段お通じのよい方でも腸内の水分不足による便秘が起こりやすいとき。適度な食物繊維や発酵食品で腸を活性化することに加え、薬膳の知恵をとり入れて、滋養のあるものを食べて体液を補い、体と腸を潤して便の乾燥を防ぎます。
余分なものは体に溜め込まず、すっきり気分で晩秋を満喫しましょう。
薬膳的!霜降、これ食べたい!
霜降の頃は、腸を潤すことを少しだけ意識してみましょう。便秘は様々な原因が複雑に絡み合うことが多いのですが、腸内の乾燥は最大の敵といえます!
体や腸に潤いを与えるおすすめの食材は、無花果(いちじく)、里芋、ごま、はちみつ、白菜、かぶ、ほうれん草、にんじん、りんご、バナナ、プルーン、豚肉、豆腐、おからなど。
一緒に、乳酸菌の力で腸の調子を整えてくれるヨーグルトやチーズ、発酵食品の酒粕、納豆やきのこ類、油脂を多く含み腸の粘膜を潤すアーモンドや胡桃、松の実などの種実を適度に組み合わせるのが理想的。
お腹に力がないと押し出す力も弱くなりますから、イモ類(さつま芋、里芋、山芋)や穀類をしっかり摂って気を補い、胃腸を元気にすることも大切です。
霜降に食べたい料理。
まずは、「里芋の胡桃団子」。お団子生地に、胃腸を丈夫にしてくれる里芋と体に潤いを与える豆腐を混ぜ込んでいます。良質な脂質が豊富な胡桃で作った味噌をのせ、こんがりと焼きました。里芋は今がいちばん美味しい時期。料理だけでなく、おやつにも使える里芋のありがたさ!
「干し杏とさつま芋のナッツサラダ」は、食物繊維が豊富なさつま芋、杏、アーモンドをヨーグルトとココナッツオイルで和えました。ひと口ごとに味わいが変わる楽しさいっぱいのサラダです。冷蔵庫で1日置いたくらいが味もなじんでいっそう美味!
「干し無花果のトースト」は、粘膜や肌を潤し、食物繊維が豊富で、高い栄養価を誇る無花果と腸を潤すチーズの組み合わせ。無花果は古くから便通を整える薬効のある植物として用いられてきました。朝食にはもちろん、小ぶりにカットすれば、おしゃれなおやつにもなります。飲み物はアッサムやダージリンなど、紅茶がよく合います。
美味しく食べたら、あとは便秘の次なる敵、運動不足とストレスの解消をはからねば!秋が一段と深まる頃は、心も体も、軽やかに、おおらかに。
▲二十四節気とは、1年を24等分にした旧暦上の季節の目印です