KATSUYOレシピ


『世界中のこどもたちへ』

2019/8/17(土)

毎年この時期に、同じポエムを掲載させていただいております。暑いなか、三日間読んでいただきありがとうございました。感謝いたします。今日はシリーズの最後です。
・・・・・・・・・・・・・・
『世界中のこどもたちへ』
1982年・小林カツ代

ある日
音楽界にいきました
子供を連れていきました
歌の中に戦争を
テーマにしたものがありました
休憩時間に10歳の
娘のまりこが聞きました

「ママ、もし戦争になったらね
パパ、戦争に行っちゃうの」

「今すぐたぶん戦争は
起こらないと思うから
もし戦争が起こっても
パパはそのころ年をとり
行かずにすむと思うけど」

無邪気なまりこは顔中が
笑顔だらけになりました
「ああよかったァ よかったァ」

「でもね まりちゃん そのころは
ケンちゃん大きくなっていて
ケンちゃん
とられちゃうかもしんないね」

今まで気づかずにいたことが
このときふいと口に出て
いった私がはっとして
胸締めつけられる思いがし
そっとまりこを見てみると
みるみる暗い顔になり
返事もせずにうつむいた

「ぼくちゃん
ちょいと トイレです」
元気にさっき出ていった
ひょうきん者の弟は
まりこと1歳違うだけ
まりこのほほにひとしずく
涙がツーと落ちました

あのとき思わずでたことば
以来私は不安です
まさかと思う戦争が
もし起こったらどうしよう
いやだ いやだそれだけは
だれが渡してやるものか
私の愛する息子です
私のかわいいこどもたち
だれが死なせてなるものか

この世でいちばんきらいな人は
戦争しようと思う人
上野の森に住んでいた
動物園のゾウやトラ
ヒョウやライオン、戦災で
もし逃げたら危険だと
餓死や毒殺命じた人に
愛のかけらはなかったか
おなかをすかせたゾウたちが
ふらふらする足ふんばって
えさをほしさに芸をする
その哀れさを読んだとき
本を伏せて泣きました

食べたいものが食べられて
愛する人や生き物と
いっしょの暮らしを守りたい
戦う武器を作るなら
世界の中の飢えし人
飢えた子どもに食べ物を
やせ細ってしわのみの
乳房にすがる赤ちゃんの
ミルクを送ってくださいな

「いただきまーす」
「ごちそうさま!」
今日も日本は平和です
口いっぱいにほおばった
子どもの笑顔がありました
今も世界のあちこちで
おとなが起こした戦争で
傷つき飢える子がいます
からだ中が火ぶくれで
泣き叫ぶ子がいます

あなたに子どもがあるのなら
どんなものより戦争を
忌みきらってほしいです
平和あっての食べ物ばなし
平和あっての子どもたち
平和を守るそのことが
子どもを守ることだから

……‥‥
【出典】
1983年 小林カツ代著
女子栄養大学出版部
『ママがせんせい』
1993年 小林カツ代著
合同出『いただきます ごちそうさま』より

※15日から3日間にわたり、平和への祈りを込めたメッセージをお伝えしてきました。戦争で命を落とした人々の死が、どうか無駄になりませんように。


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