ごぼうの扱いについて説明していきましょう。ごぼうは、食べて分かるように、そのほとんどが食物繊維なので、乾燥するとスジスジして、美味しさも半減。乾燥しないように湿らせた新聞紙に包んで、寒いところに置いておきます。
可能なら横にせず、立てておくと長持ちします。すぐに食べないなと思えば、料理をして保存しておくのがいいでしょう。
ごぼうはアクの強い野菜なので、スッキリ食べるなら、切ったあと5〜10分水にさらすことが多いのです。しかし、料理によってさらさずに使ったり、ザブリと洗う程度で良いことも多く、ごぼうのアクは、うまみでもあるのでそこは見極めないといけません。
水にさらし過ぎは旨味が消えてしまい、ごぼう本来の味と風味を生かすことができません。皮をゴシゴシ、洗って泥を落とすだけ十分で、皮をむく必要はないのです。
ごぼうの旬は11月、植物学的にはキク科の2年草。小林カツ代の師でもある、徳野雅仁氏著の『農薬を使わない野菜づくり』(洋泉社刊)によれば、春にまいた種が芽を出し、夏から秋にかけて生長し、葉茎枯れるその年の晩秋に収穫期を迎えると書かれています。まさしく今が旬なんです!
そして地下に残されたごぼうは、翌年の春に新芽を出して、初夏にはトウを伸ばし、7月には花をつける、と書かれています。それはアザミにも似た、大変控えめな花だと!
この本で感動したもう一つには、11月の収穫期には、1メートルにも達する主根(ごぼう)、発芽二日後には、もう10cmほどの、20日間では40cm位の深さまで、根をおろしているということも記されており、その逞しさには感心するばかりです。
そんな根の強さからか、江戸時代から家の基が地の底まで、堅固であることの縁起担ぎで、おせち料理のひとつに“たたきごぼう”といわれているのも、うなづけます。
江戸時代1730年の料理書『料理網目調味抄』には既に“たたきごぼう”のレシピが掲載され、『再現 江戸時代料理』という最近の本によれば、この料理は江戸時代の前、変動の激しい室町時代からあると書かれています。まさしく継承料理ですね。
ごぼうを畑で、作ったことのある人はご存知とおもいますが、徳野雅仁氏の本『農薬を使わない野菜づくり』によれば、利用の都度、収穫できるので、新芽が出るまでは畑にごぼうを残したままでも品質が落ちないこと。子葉や、間引き菜もすべて食べられ、7〜8月の若いごぼうは柔らかく、“新ごぼう”として人気があるのは、皆さんも夏に八百屋さんの店先で見慣れていることと思います。
一年中美味しく食べられる“ごぼう”ですが、どうやら、秋が一番おいしい“ごぼう”。そのせいか、比較的値段も安定しています。お正月にはグンと高騰しますが、日々食卓に並べて、元気な毎日を過ごしてくださいますように・・・。
(文責・本田/文献調査解説・吉開)