8月15日によせて


●八月オリンピック開催の年に、平和への願いを込めて

平和の願い, カツ代の家庭料理1945年、東京大空襲、そしてその夏、長崎・広島と原爆が落とされました。今もなお、その後遺症で苦しんでいる人たちがいます。戦後誰もが、平和を祈りつつ、二度とこの悲しい出来事、あやまちをおかさないように思っていたはずです。

しかし、世界は平和になったのでしょうか?いまもなお、世界のどこかで争い、親も家も失い悲しみに涙する子供たちがいます。

今年は北京でオリンピックが開催されています。この期間中の8月15日、日本は終戦記念日を迎えます。日本は世界で唯一の被爆国です。争いごとのない世界、世界中の人が笑顔で過ごせるように、一人ひとりが心することからしかはじまりません。

いま、日本は食育がブームですが、平和なくして、食べ物は手に入れることができないこの真実を、どうか心に刻み、また明日からキッチンに立ってほしいとおもっています。そして過去に感謝しつつ、食べ物を大切に扱っていきたいと思っています。

BY キッチンスタジオスタッフ一同


●緑の星に より

緑の星, カツ代の家庭料理小林カツ代:作詞
吉岡しげ美:作曲
大島みちる:編曲

2002年CD
エイベックス

★☆★☆★☆★☆
地には花が咲き
人には歌がある
この美しい緑の星と
与えられた生命のために
戦さをやめて 歌っておくれ
戦さをやめて 歌っておくれ

海には魚たち 空には鳥が鳴く
宇宙の中の小さな星に
今日も生きるものたちの
祈りの声を 聴いておくれ
耳をすませて 聴いておくれ

遠くに風の声 近くに虫の声
緑の星に命が生きる
緑の星はひとつの家族
戦さをやめて 愛しておくれ

戦さをやめて 愛しておくれ
戦さをやめて 愛してゆこう


●世界中のこどもたちへ

世界中のこどもたちへ, カツ代の家庭料理合同出版
「いただきます
ごちそうさま」
より



ある日
音楽界にいきました
子供を連れていきました
歌の中に戦争を
テーマにしたものがありました
休憩時間に10歳の
娘のまりこが聞きました
「ママ、もし戦争になったらね
パパ、戦争に行っちゃうの」
「今すぐ戦争は
起こらないと思うから
もし戦争が起こっても
パパはそのこと年をとり
行かずにすむと思うけど」
無邪気なまりこは顔中が
笑顔だらけになりました
「ああよかったァ よかったァ」
「でもね まりちゃん そのころは
ケンちゃん大きくなっていて
ケンちゃん
とられちゃうかもしんないね」

今まで気づかずにいたことが
このときふいと口に出て
いった私がはっとして
胸締めつけられる思いがし
そっとまりこを見てみると
みるみる暗い顔になり
返事もせずにうつむいた

「ぼくちゃん
ちょいと トイレです」
元気にさっき出ていった
ひょうきん者の弟は
まりこと1歳違うだけ
まりこのほほにひとしずく
涙がツーと落ちました

あのとき思わずでたことば
以来私は不安です
まさかと思う戦争が
もし起こったらどうしよう
いやだ いやだそれだけは
だれが渡してやるものか
私の愛する息子です
私のかわいいこどもたち
だれが死なせてなるものか

この世でいちばんきらいな人は
戦争しようと思う人
上野の森に住んでいた
動物園のゾウやトラ
ヒョウやライオン、戦災で
もし逃げたら危険だと
餓死や毒殺命じた人に
愛のかけらはなかったか
おなかをすかせたゾウたちが
ふらふらする足ふんばって
えさをほしさに芸をする
その哀れさを読んだとき
本を伏せて泣きました

食べたいものが食べられて
愛する人や生き物と
いっしょの暮らしを守りたい
戦う武器を作るなら
世界の中の飢えし人
飢えた子どもに食べ物を
やせ細ってしわのみの
乳房にすがる赤ちゃんの
ミルクを送ってくださいな

「いただきまーす」
「ごちそうさま!」
今日も日本は平和です
口いっぱいにほおばった
子どもの笑顔がありました
今も世界のあちこちで
おとなが起こした戦争で
傷つき飢える子がいます
からだ中が火ぶくれで
泣き叫ぶ子がいます

あなたに子どもがあるのなら
どんなものより戦争を
忌みきらってほしいです
平和あっての食べ物ばなし
平和あっての子どもたち
平和を守るそのことが
子どもを守ることだから

1983年・小林カツ代

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