スパイスレッスン その9
ナツメグ
( Nutmeg )
スパイス解説
ハンバーグ、ミートローフなどの挽き肉料理に加えるスパイスとして、日本でも認知度の高いナツメグ
こしょう、シナモン、クローブと並ぶ4大スパイスのひとつと言われ、スパイス貿易では高価なスパイスとして大変珍重されました
原産地はモルッカ諸島(インドネシア)で、スリランカ、マレーシア、グレナダ(西インド諸島)、中国広東省などでも生産されています
ナツメグはニクズク科の常緑喬木の種子の核(仁=ジン)。鈴型をした淡黄色の小さな花が咲いた後、アプリコットのような実が完熟して割れると、その中に種子があり、この種子に、なんと2つのスパイスが含まれています
まず種子を被う、鮮やかな深紅色のレース状の仮種皮がメースと呼ばれるスパイス。メースを取り除いたあとの黒褐色の種子をカラカラに乾燥させたあと、殻の中から取り出したものが薄茶色の
ナツメグ
です
同じ果実の種子からとれるため、ナツメグとメースの風味は似通っています。どちらも甘く刺激性のある強い香りとほろ苦さがありますが、ナツメグのほうが甘さと刺激感が強く、メースは繊細でさわやかな芳香が特徴です
ナツメグは味のアクセントとして使う他、食材独特の臭みをおおう、マスキング効果があると考えられ、卵やチーズ・牛乳などの乳製品を使う料理、マッシュポテト、シチューやミートソースなどにとてもよく合い、世界各国の料理に幅広く使われています
また、林檎や梨などのコンポート、プディングやアイスクリームなどのデザートとの相性もよく、熱を加えると刺激的な香りが弱まり甘さが強調されるので、フルーツを混ぜ込んだケーキやクッキーなどの焼き菓子にもおすすめです
東洋ではナツメグは古くから薬用にも用いられてきた歴史があり、たとえばインドでは頭痛、口臭、消化不良などの生薬として使われていたことが、紀元前の書物にも記されています
中医薬膳では、ナツメグはニクズクと呼ばれ、温性で辛味があるものとされています。お腹を温め、気の巡りをよくすることから、食欲不振、腹痛、腹部膨満感などを緩和するのに用いられてきました
ニクズクは収渋類という生薬に分類されています。これは収縮させて引き締め固めるはたらきがあるという意味で、下痢止めなどにも利用されてきました
ナツメグはホールタイプとパウダータイプがあります。日本ではパウダータイプが主流ですが、香りが飛んでしまいやすいのが少し残念
もしもホールタイプが手に入るようであれば、ぜひ挽きての香りを楽しんでくださいね
ナツメグ挽きについては、
おまけのコラム
をご参照ください。
但し!
ナツメグに関する注意点がひとつ。香り成分の主体となるミリスチシンは、一度に
大量
に摂ると、けいれん、幻覚などを引き起こすことがありますので、くれぐれも
過剰摂取
は禁物です
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ナツメグ
を使ったレシピ
ほうれん草とかぼちゃのキッシュ
味の決め手は卵と乳製品によく合うナツメグ
生地は意外にも簡単。そして、天にものぼる、美味しさが売りです。カロリーは・・・この際忘れましょ
スパイシー肉詰めグリル
スパイス効果でさらに引き立つお肉の美味しさをピーマンの自然な形にギュとつめました
ちっちゃめのカラフルピーマンで作るとさらに可愛らしい
ミートソース八丁
ちょっと威勢のよいレシピ名をつけてみました
イタリア人のみなさん、驚くなかれ〜、味噌入りですぞー
ミートソースにナツメグ、これはもう間違いなし
鮭とじゃが芋のパイシチュー
パイシートで簡単にロシアのパイシチュー
本格派の味わいに、きっと驚いていただけるはず
おもてなしにもおすすめです
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お や つ
ダークアップルケーキ
ナツメグはシナモンなどのスパイスと合わせると、より香りがきわだちます。さらにりんごの香りも加わって深い味わいに
焼いている間じゅう、甘い香りが漂います
シックなブラウンカラーを楽しむ、ちょっと大人のケーキです
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の み も の
マルドワイン
シナモン、クローブ、八角、生姜、ナツメグ・・・スパイスレッスンに登場したスパイスをあれこれ入れて。オレンジとりんごの爽やかな風味がスパイスの香りを引き立てます
体ポカポカ、血液サラサラ、心にしっとりなじむような一杯を、温かいうちに香りごと召し上がれ
お ま け コ ラ ム
ナツメグ挽き
冬&早春のスパイスレッスン
◆1週目
生姜
◆2週目
シナモン
◆3週目
唐辛子
◆4週目
胡椒
◆5週目
スターアニス
◆6週目
ターメリック
◆7週目
クローブ
◆8週目
クミン
◆9週目
ナツメグ
コ ラ ム
冷えとスパイス
スパイスを中心に見た歴史
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