スパイスレッスン その5
八角
( Star anise )
スパイス解説
八角形の星型が美しく、ハッと目をひくスパイス、八角
モクレン科の常緑樹の果実で、実が熟すとともに星型になり、それをそのまま乾燥させたものがスパイスとして使われています
よく見ると、果実の中には8つの袋果とツヤツヤ光る種子が可愛らしく並んでいます。主産地は中国とベトナム
八角の英名は、スターアニス
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外観が星型であることと、アニスというスパイスに似た甘い香りをもつことからつけられました
中国では大茴香(ダイウイキョウ)とも呼ばれますが、これは香りが小茴香<フェンネル>に似ていることからきています
実際、アニスとフェンネルはセリ科の植物でスターアニスとは種類が異なりますが、三者とも果実に含まれる精油の主成分にアネトールを含み、これが香りのもとになっています
八角にはさらに苦みや渋み、辛みもほんの少しあるのが特徴です。その複雑な香りは、香水や石鹸、歯磨き粉などの香りづけにも使われるほどです
中医薬膳では、八角(別名:大茴香)は、小茴香<フェンネル>とほぼ同じ性質をもつとされますが、小茴香は薬用に、大茴香は主に香辛料として用いられてきました
お腹や手足の冷えによる痛みをやわらげるほか、気の巡りをよくして食欲不振や嘔吐感を緩和するなどの働きがあるとされています
最近の研究でも、八角の主成分には、鎮痛作用、抗菌作用、去痰作用、消化促進作用などがあるということが報告されています
さて、八角と言えば、日本では中国料理の東坡肉(トンポーロー)の香り、あの、独特の香辛料・・・というイメージを思い浮かべる方も多いことでしょう。もちろん、豚肉、鶏肉、鴨肉、レバーなどのくさみ消しにも効力を発揮します。けれども、他の国々ではじつにさまざまな使われ方をしています
例えば、ベトナムでは、牛肉のスープ麺などに欠かせぬ調味料ですし、西洋では、フルーツを漬けるシロップやジャムの香りづけに、あるいは、ローストチキンや魚介類の煮込料理などにも幅広く使用されています
今回ご紹介するレシピも、ちょっとだけ冒険してみました。八角を、お馴染みの中国料理だけでなく、和食に、洋食に、おやつに、のみものに使ってみたところ、なんとこれが大成功
八角が放つ何とも色っぽい香りと、素材を品よく引き立てる味わいに、チームKATSUYOのメンバー全員が驚き、魅了されました
八角はちょっと苦手・・・という方にも、八角の新しい味と香りを楽しんでいただきたいな、と思います
個性的な味と香りを上手に引きだすため、星型を割って、やや控えめに、小片で使うこともおすすめです
八角が香りの主軸となっている中国特有のミックススパイス“五香粉(ウーシャンフェン)については、
おまけのコラム
で分析してみました
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八角
を使ったレシピ
八角チャーシュー
八角の味が効いてこそチャーシュー・・・という人もいるほど、どこかで一度は食べている懐かしい味です
ぶり大根八角風味
八角の香ばしく甘い香りは、魚の生臭みを一気に消します。日本の味にも、さりげなく、しっくりあう不思議
ホタテの八角ソテー・クリームソース
八角とクリームソース
一見ミスマッチなこの組み合わせ。食べてびっくり、これぞまさしく、スターアニスの洋風マジック
中華風ローストチキン
鶏肉を八角味のたれにつけ込んでローストするだけ
きれいな焼き色と、やさしい香りが食欲をそそります
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お や つ
八角シロップ(フルーツ漬け)
オレンジやりんごの香りと大変相性のよい八角
デザートに使うと、想像を超えるほど色っぽい香りを放ちます
植物のもつ力の素晴らしさ
八角の新しい魅力に、この冬ぜひ出会ってください。冷蔵庫で1週間は保存可能です
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の み も の
スターアニスティー
八角を使った自家製フレーバーティーです
八角の甘い香りとほろ苦さは、紅茶とよく合います
ベースの紅茶は、濃厚でまろやかなコクのある
キーマン
、華やかな風味と繊細な渋みのある
ダージリン
などがおすすめです
お ま け コ ラ ム
中国のミックススパイス
→五香粉を分析!
冬のスパイスレッスン
◆1週目
生姜
◆2週目
シナモン
◆3週目
唐辛子
◆4週目
胡椒
◆5週目
スターアニス
コ ラ ム
冷えとスパイス
スパイスを中心に見た歴史
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KATSUYOレシピ
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