スパイスレッスン その6
ターメリック
( Termeric )
スパイス解説
鮮やかなカレーパウダーの黄色はターメリックの色、と言っても大げさでないほど、ターメリックはほとんどのカレー料理の色を美しく演出しています
かすかな辛味と苦味、少しだけ土っぽい香りが特徴のターメリックは、ショウガ科の多年草植物の根茎です
土の中の根っこの部分を茹でたり蒸したりしたあと、乾燥させ、細かく砕いて粉末にしたものがスパイスとして使われます
インドなど南アジアを中心に、中国、アフリカ、中南米の熱帯から亜熱帯地域で栽培され、日本では沖縄と鹿児島のごく一部の地域で生産されています
ターメリックは日本では“ウコン”と呼ばれていますが、薬膳の理論のもとである中医学では、“姜黄(きょうおう)“という名前がつけられています。中医学にはターメリックとは別に“鬱金(うこん)”という生薬があり、これに対して日本では“姜黄”という和名がつけられているため、少々複雑です。以下の文ではターメリックで統一します
和名:ウコン
中医学上の“姜黄”
(ターメリック)⇒
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和名:姜黄
中医学上の“鬱金”
(うこん)⇒
ターメリックは、中医薬膳では、主に脾・肝に作用し、血液の流れを促進し、気血をめぐらせて肩こりやお腹の痛みをとめたり、体にたまった湿気を取り除く作用があるとされています
また、インドでも血液浄化、抗菌、解毒、消炎作用があるもとのとして珍重され、傷薬やのどの炎症を抑える薬に使われてきました
最近の研究では、ターメリックに多く含まれる黄色い色素クルクミンや精油成分に、胆汁の分泌を促して肝臓の働きを助けたり、健胃や抗炎、抗酸化などの作用が期待される成分も含まれていることが見直され、注目度がぐんと上がっています
とはいえ効果を期待した過剰摂取は刺激が強く、かえって消化器官を崩すこともありますので、くれぐれもご注意を
ターメリックの原産地はインドと言われており、紀元前970年頃にはすでに栽培されていたという説があります。日本にもたらされた時期ははっきりしていませんが、海外交易の盛んだった琉球王国(1429年〜1879年)を経て伝わり、その後日本各地に広まったと考えられています
琉球王府がターメリックを専売品として厳しい管理下で栽培した時期もあり、庶民には手の届かない貴重なものだったそうです
当時は、染料あるいは薬用としての需要が多く、琉球王府の重要な財源になったとのこと。沖縄県では現在も、ターメリックを煎じた「うっちん茶」が健康茶として親しまれています
日本では、ターメリックはカレー粉に入っている黄色いスパイスというイメージが強く、単独で料理に使う機会は少ないのですが、インドやスリランカなどでは実にさまざまな料理にターメリックを使っています
ご飯に炊き込んだり、野菜をシンプルに炒め煮する時に使ったり。飲みものやおやつに使ってみると、なんとも優しい、風味豊かな味わいに仕上がります
ターメリックは油に溶けやすい性質がありますので、焦がさないようにゆっくり加熱して充分に色を引きだしてくださいね
今回ご紹介するレシピを作っていただければ、これまで脇役だったターメリックの存在感が増しますよ、きっと
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ターメリックを使ったレシピ
豚肉のターメリックリゾット
水は少な目に、フライパンで煮ながら、混ぜながら。少しかためが本格リゾット仕上げ。ターメリックの色も十分に引き出して
えびとじゃが芋の炒め物
えびとじゃがいもとターメリック、このトリオ、なんて素晴らしい相性なんでしょう!スパイス使いが嬉しくなる一皿です
タンドリーチキン・レーズンターメリックライス
煮て仕上げるタンドリーチキンは、お肉がジューシーでマイルド、満足感いっぱいの味。ターメリックライスとよく合います
キャベツのターメリック炒め煮
ターメリックの良さを100%いかした小さなおかず。野菜が優しい味になりました。付け合わせにもおすすめです
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お や つ
うっちんドーナッツ
“うっちん”とは沖縄のことばでターメリック(和名・うこん)のこと。ターメリックとさつま芋でほっこりした黄金色のドーナッツが出来ました
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の み も の
マイルドスパイスミルク
インドでは風邪のひき初めでのどが痛いときなどに、お母さんがターメリック入りホットミルクを作ってくれるそうです
どうりで、心もなにやら、柔らかな温かい気持ちになります
お ま け コ ラ ム
→料理に色を添えるスパイス
冬のスパイスレッスン
◆1週目
生姜
◆2週目
シナモン
◆3週目
唐辛子
◆4週目
胡椒
◆5週目
スターアニス
◆6週目
ターメリック
コ ラ ム
冷えとスパイス
スパイスを中心に見た歴史
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