今、まじめに悩んでいることを聞いて下さいますか?またふとってきたのかって?いえいえそんなふざけた話ではありません。
悩みっていうより考えこんでいるっていう状態。COOKの読者はほとんどがうら若き女性ゆえ、子持ちにてあらず、私の現在の悩みはちょっと縁遠いことかも知れません。しかし、いつかは子持ちになる人もいることゆえ、聞いておいてほしいのです。
実は昨年あたりから私はユニークなお菓子の教室を開くことを計画しているのですが…なかなか実現し得ないのはこの子持ち問題。
といっても、私自身の子どもたちは五歳と六歳でまだ幼いとはいえ、そう手はかからないし、安心して子どもを託せる人も近くにいます。ですから私としては今すぐでも教室を開くことが出来るのですが、さてここで思いをはせるのは習いにくる人たちのこと。
小さい子がいる人ほど手づくりのおやつを食べさせたいのが人情。
しかし、現実には小さい子がいて気軽に習いごとも出来ません。習いごとに限らず、若い母親だからこそ聞きたい講演なども子連れはほとんどシャットアウト。
私自身も、いくら子どもを託せる人がいたとはいえ、どこでも託児付きがあるとどんなにいいだろうと思った日々があります。そのために子どもが犠牲になるようでは論外ですが、子ども自身も仲間に出会える楽しい場だったらどんなによかろうかと……。
撮影:添田明也 スタイリング:チームKATSUYO
そんな経験ゆえにこそ、子連れ母親大かんげいといった場をぜひ作りたいのです。
お菓子を習うだけでなく、意見を交換し合ったり、なぐさめ合ったり、また息ぬきの場であったりというような…。
それにはわが住まいであるマンションにての教室ではとても無理。広い場所と保母さんがぜひとも必要です。ある町では広々とした芝生の庭を持つ集会所があって、そこの住民なら誰でも利用出来るとのこと。うらやましいなと思います。
私は若い母親向きのある雑誌に良く料理やエッセイを書くので、幼い子持ちの母親からお便りをもらうことが多いのですが、彼女たちの共通した悩み、それは小さい子がいても出来る何か、場を求めていることです。
せめて私はそんな人たちのための子連れかんげいお菓子教室を開きたい。
しかし前途は真っ暗。そうしたいと思う希望だけで、いいチエはちっとも浮かびません。近くの公民館みたいなところもあたりをつけてみましたが託児には無理なようです。以前は遊具もそろえた託児室があったとのことですが、現在は会議室とやらに模様替えして時代に逆行。
撮影:添田明也 スタイリング:チームKATSUYO
さりながら、いつまでも足ぶみしていても仕方がないので、子連れ母親お菓子教室開催はいつかの夢にして、目下は小学、中学、高校生(男女問わず)、それから料理は食べることのみという若き女性と男性を対象にした料理orお菓子の教室を開いてみたい。
自分が作る楽しさを知る教室とでもいいましょうか。
べつに奇をてらっているわけではないけれど、料理教室や学校なんてゴマンとあるんだもの、ひとつくらいユニークといわれるようなのがあってもいいんじゃないかなあ。
とまあこれらの構想をある人に話したら彼女いわく、
「あの、普通の人は習えませんの?」
まさかァ。
小林カツ代 (1976年復刻掲載)
「お料理ショート・ショート」
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ラスクプレーン
パンを使ったお菓子の代表。じっくりカラリと焼き上げます。
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