新暦4月5日頃〜
清明は、清浄明潔の略。空は晴れ渡り、明るく清らか。大地に万物の活気が満ちあふれる頃です。
▲次の24節気は穀雨(4月20日頃〜)です。
お節介訓 その5
清明は、うつうつ、イライラ、多いとき。「肝」を養い、心身のびのびリラックス。空を見上げて、深呼吸。
薬膳のポイント>うららかな春は、実は、心や体が不安定になりがちな季節です。爽やかな酸味の手作りかんきつ酢で、イライラやそわそわとした気持ちを落ち着かせましょう。かんきつ類は、今が旬の、はっさくや甘夏、日向夏などがおすすめです。
春真っ盛りです。ぽかぽか陽気もグングン上昇中で、心うきうき…のはずなのに、なぜかこの時期、そわそわと落ち着かなかったり、むしょうにイライラしたり、気分が落ち込んだり、ぼんやりしたり…ということが起こりがち。
こうした症状を、中医学では、五臓の中の「肝(かん)」のトラブルと考えます。「肝」とは肝臓本来の働きよりもさらに大きく捉えたもので、血液の貯蔵や巡り、解毒といった機能だけでなく、気の巡りや精神・感情の調整も担っているとされます。
こうした「肝」の働きのなかでも、春はとくに、気の巡りや精神・感情をコントロールする役割に影響の出やすい季節。たとえば、春になって自然界の陽気が上昇しても「肝」がうまく働かなければ、体はだるく、うつうつしやすくなり、逆に過剰反応を起こして「肝」のエネルギーが高まり、興奮しすぎれば、イライラやそわそわ、のぼせ感、頭痛、不眠などが現れやすくなります。
心身のバランスを崩しがちな春は、「肝」を上手に働かせ、安定させることが大切です。「肝」を養うものや香りのよいものなどを少し意識して摂り入れてみましょう。春の不安定な感じは、自然に生かされていれば誰にでも起こりうること!と大きい気持ちで構え、軽く体を動かしたり、自分がのびのびできる環境を作ることも大切です。
薬膳的!清明、これ食べたい!
"清明"の頃、やる気が起きない、うつうつしがち、というときは、「肝」の機能が弱っているのかもしれません。「肝」を養い、巡りをよくすることが必要です。「肝」がうまく機能すれば、血液とともに栄養がしっかり体に行きわたり、解毒作用によって体の老廃物も溜まりにくくなり、脳も活発になって精神や感情も安定しやすくなります。
「肝」を養う、おすすめの食材。まずは、ほたて、はまぐり、あさり、しじみなどの貝類。肝の働きを助け、解毒機能も高めます。いか、タコ、ほうれん草、にんじんなどで血を養うことも大切です。また、気の巡りをよくしてくれる柑橘類などを組み合わせると、ふわっと気分が軽やかになります。
プチうつ気分とは反対に、すぐにイライラしてしまう、怒りっぽいな、と感じるときは、上記のような「肝」を養う食材に加え、陽気の急上昇に伴う「肝」の興奮を抑え、「肝」を冷まし、体を潤す食材が必要です。体を冷ます働きのある涼性の食材、たとえばセロリ、トマト、いちごなどがおすすめです。
さらに、注目したいのが酸味です。酸味は収斂作用があり、肝の高ぶりをキュッと抑える働きが期待できます。そういえば、体がお酢を欲している、と感じる方、いませんか。そんな方は、いつもの料理にちょっとお酢を使ってみる、そんな感じがいいですね。お酢は普通のお酢でももちろん構いませんが、この季節ならではの特製酢を作っておくと、お酢使いがとても楽しくなります!
今年のイチ押しは、清明のおすすめでご紹介した「和製かんきつ酢」です。お酢に今出盛りのかんきつ類と生姜を加えました。サラダに酢の物に、いろいろ使えてかなり重宝です。
カツ代レシピに、このお酢を使った「ほたるいかとセロリのサラダ」がありますので、ぜひチェックしてください。今が旬のほたるいかは、ちっちゃな体に抗酸化作用のあるビタミンEや肝臓の働きをサポートするタウリンを豊富に含みます。爽やかさあふれる「和製かんきつ酢」で、さっぱりと美味しく食べてくださいね。
そしてもしも、うつうつしがち、だけどイライラもする…のように、さまざまな症状が同時に現れてしまうときは、ジャスミン茶を淹れて、ゆっくりひと口どうぞ。甘くすがすがしい花の香りが気の巡りをよくし、心をぱっと解き放つのを手伝ってくれるでしょう。
春はゆ〜ったり、深呼吸して、心も体もリラックスしましょうよ!
▲二十四節気とは、1年を24等分にした旧暦上の季節の目印です