春、活気づく自然に歩調を合わせ、大らかにのびのびと、心と体をリラックスさせてお過ごしください。
空気が暖かくなり、自然界のすべてが伸びやかに生長しはじめる春。人間も体内の陽気を十分に巡らせ、上手に発散させることが大切です。まだ肌寒い日もある春のはじめは、「辛味があり、体を温める性質の食材」や「芳香性があり、気の巡りをよくする食材」をほどよく摂り入れましょう。
しそ、しょうが、ねぎ、三つ葉、せり、よもぎ、新玉ねぎ、らっきょう、かんきつ類、グリーンピース、黒きくらげ、葛粉など。
新たまねぎの美味しさをたっぷり丸ごといただけるのは、春限定のお楽しみ。たまねぎは、体を温め、消化液の分泌を助け、気の巡りをよくする作用があります。
ほんのりきかせたカレー味が臓腑の働きも高め、代謝力をアップします。
らっきょうはユリ科の植物、薬膳では薤白(がいはく)と呼ばれます。体を温めて気を巡らせ、胃腸の働きを高めるほか、独特の辛味成分には血液サラサラ効果も。
カレーのお供にしておくだけではもったいない”らっきょタルタル”は消化のよい鶏肉とも相性抜群です。
春の素材をほっこり炊いて、葛でとじました。葛の根を干したものを葛根(かっこん)と呼び、発汗・解熱・筋肉の緊張を緩める作用があるとされます。
涼性なので、肌寒い春のはじめには、微温性の生姜を最後に添えるのをお忘れなく。
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◎ 伊予柑サラダ
にんにくとヨーグルトのドレッシングが味のポイント。おもてなしにもぴったり。
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春の訪れを感じさせるほろ苦いクレソンに、香りのよい伊予柑を合わせたサラダ。柑橘類は、気の巡りをよくし、胃の働きをよくすると言われます。
爽やかな味が口に広がった瞬間、体の緊張がゆるりとほどけ、ふわっとのびやかになれそうです。
体の中の「陽気」は、急激に過剰になりすぎると頭がぼっーとしたり、のぼせたり、目が充血したりしがち。余分な熱は取り除き、体に必要なよい水分を補って潤し、不快な症状をできるだけ取り除きましょう。
キャベツ、ほたて、白ごま、豚肉、松の実、白きくらげ、アスパラガス、セロリ、レタス、春が旬の魚など。
体に必要な潤いを補う帆立にはうまみ成分がたっぷり。フレーク缶でも十分美味しい出汁が出ます。
そら豆とあわせたら、両者が持ち味を存分に発揮。色もきれいな春の炒飯になりました。
春のひだまりがお皿の上に。卵の旬は春。冬の間エネルギーを蓄えた鶏たちが産む卵は美味しくて栄養もたっぷり。
アスパラガスは水分を補い、余分な熱を鎮めるほか、抵抗力を高め、体力増強に役立ちます。休日のブランチにいかが?
甘くて柔らかくて水分を多く含む春キャベツ。消化吸収を助け、胃腸を元気にしてくれます。
体を潤し、乾燥便秘にも効果ありの”松の実豚”は白味噌が味の決め手。春の定番うどんにしてくださいな。
春の野菜を、じっくり煮込んだ豚肉のスープでサッと煮たら、野菜のもつ自然な甘みを引き出すことができました。
すっきり感とみずみずしさが体にうれしい春ポトフ♪
春は「肝」に変調が起こりやすい季節。中医学でいう「肝」は、単に肝臓機能をさすだけでなく、血液の貯蔵や巡り、情緒の働き、目や筋にも関係しています。”目が乾く、しょぼしょぼする、何となく元気が出ない・・”こんなときには「肝」をいたわり元気にするもの、「補血作用のあるもの」を意識して食べるのもいいでしょう。
はまぐり、あわび、しじみ、レバー、いか、かき、ほたて、セリ、セロリ、ほうれん草、にんじん、うなぎ、しそ、クコ、黒ごま、ブルーベリーなど。
ときには自分へのご褒美として、こんな贅沢な一皿はいかがでしょう。うなぎは肝・腎・肺機能や消化器系の働きを助け、目や筋骨の機能を高めると考えられ、疲労回復や免疫力強化、美肌にも大変ありがたい食材です。
一口ごとに体が感じる幸せ。
あさりは鉄分豊富。ビタミンB12が貧血予防、肝機能強化の役割も。小さな身に栄養と旨味がギュウッと凝縮されています。
野菜もたっぷり加え、ビーフンにおいしい汁を吸わせるように炒め合わせるのがコツ。
イカは肝臓の働きを高めるタウリンを豊富に含む高たんぱく、低カロリー食材。セロリは体の熱を鎮め、利尿を促進。クコは肝機能の調節や高血圧の改善、疲労回復、老化防止が期待できます。
それぞれのよさが最大限に生きる一皿です。
はまぐりは貧血予防に役立つ鉄やビタミンB12、コレステロールや中性脂肪を排泄させるタウリンが多く、水分代謝を調節します。
アブラナ科の菜の花は、ビタミンCやカロテンなどが豊富。栄養と旨味が溶け出した春のお吸い物は、年に一度は食べておきたいですね。
春になって、なぜだかイライラしやすい、怒りっぽい、ということありますよね。情緒安定の維持に関係していると考えられている「肝」が高ぶっているせいかもしれません。そんなときは、肝の機能の調節に役立つと考えられている酸味をほどよく使ってコントロール。
春が旬の「鰆(さわら)」。良質なたんぱく質や脂質が豊富、コレステロール低下、血圧降下などに効果があると言われます。
レモンの酸味がきいたサルサソースには、精神安定作用のある野菜がたっぷり。食べたあと、爽やかな気分になる一皿です。
コクがあるのに、あと味さっぱり、お肉がやわらかく仕上がるのも実はお酢の力です。イライラがつのると、消化機能にも影響し、食欲不振、疲れなどの症状が出やすくなります。
鶏肉で胃腸を元気にし、お酢の酸味で「肝」の機能をほどよく調節します。
春のお寿司が美味しく感じられるのは、体が酸味を欲しているせいかも!
山菜、竹の子のふわりとした香りが気分を和らげ、少し贅沢なお刺身使いが春到来の喜びを盛りあげます。
超シンプルな調理法でも美味しいのは、黒酢の熟成された味がなせるワザ。北京の代表的なお惣菜です。
黒酢は、血流をよくしたり、胃腸の機能や代謝を高めるはたらきがあります。
春は独特な苦味と香りのある山菜が出回ります。苦味は清熱、解毒作用があるほか、胃腸機能促進、鎮静作用もあると考えられています。芽吹いたばかりの山菜の力をいただき、冬から春へ、体をシャキッとリセット。低カロリーで食物繊維も豊富です。
竹の子、うど、ふき、ふきのとう、こごみ、たんぽぽ、菜の花、たらの芽、わらび、ぜんまい、木の芽、春菊など。
うどは薬膳では「独活(どっかつ)」と呼ばれ、体内の余分な湿気を除き、頭や関節の重い痛みを改善すると言われます。
独特のアクが美味しい山ウド、酢みそドレッシングが豚バラとの仲をきっちりとりもちました。
竹の子は体の余分な熱を冷まし、痰や老廃物を排出、食物繊維が豊富で便通改善効果も期待できます。
新竹の子独特のえぐみと香り、ホクホク感をいっぺんに楽しめるのは春だけの贅沢です。
たらの芽はウコギ科の落葉低木タラの木の若芽。むくみ改善や高血圧予防に役立つと言われます。
芽吹いたばかりの若芽と食物繊維豊富なこんにゃくを、豆腐と白ごまの白和え衣で閉じ込めて、“春の口福”を味わいましょう。
食物繊維が多く、血圧上昇抑制やコレステロールを減らす働きのある昆布。老廃物を排出、腸の健康維持にも役立つと言われる竹の子。
春の出会いものを、ひと鉢に盛り合わせる…日本人の粋は、薬膳的にもすぐれた組み合わせです。
春が旬の野菜や果物、植物を使ったおやつを楽しみましょう。香り、色彩の美しさを見て食べて、心と体をリラックス。
青紫色の小さな粒に、目の機能を高める成分が入っているプルーベリー。目に不快な症状の出やすい春におすすめの食材です。
チーズ、卵、ブルーベリーの組み合わせが美味しすぎるこのタルト、食べ始めたらとまらなくなる魔力には、どうぞご注意くださいね。
胃腸の働きを高め、むくみを取る働きがあるとされるグリーンピース。さやから出したてを使えば、さらに風味もよく、緑色もあざやか。
白玉とのコントラストは、“うわぁ、きれい〜”と誰もが言うこと、間違いなし。
旬のいちごを使ったチーズケーキは可愛いパステルピンク。いちごには、体に必要な水分を補うほか、補血・利尿作用などの働きが。ビタミンCも豊富なので、風邪予防や肌トラブル解消の強い味方。
ヨーグルトも入っているので、さっぱりやさしい味です。
ふわりと立ちのぼる春菊の香り。あ〜、春ですねぇ。春菊独特の香りには神経を鎮めたり、胃腸の働きを高め、痰を切る作用があります。βカロテン、ビタミンCも豊富。黒胡麻あんを包み、きなこをまぶして…
体にやさしい日本のおやつは、ゆっくり緑茶を入れてどうぞ。